歯周病の進行

さきに述べたように、歯周病は歯周病菌により引き起こされる「歯周組織」の「感染症」です。
決して「年をとったからなる」ものではありません。

ニキビや毛嚢炎やそのほかの炎症と同じように、細菌感染のターゲットとなりやすい部位があります。
それが歯肉溝(しにくこう)です。
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この歯肉溝に歯垢=細菌がこびりつくことによって歯周病がスタートします。

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ところがこの状態を知らず知らずに放置しますと、

歯肉炎をおこしてしまいます。歯垢が付着して2、3日経過すると既に歯肉炎の状態になっています。歯肉に接したプラーク=細菌叢から歯肉の組織に内毒素を放出し、炎症がおこり腫れや出血がみられます。この段階で歯ブラシによって機械的に除去できれば進行はしないはず。というか直ぐに健康な状態にもどります。が、実際はこうなっていることに気づかず進行しちゃうことが多いのです。
この毒素に対して自分の身(組織)を守るために白血球がでてきます。歯肉の中の血管から水分(滲出液)が放出され、容易に出血しやすくなります。

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その後も放置されると炎症は持続し、歯肉と歯とをつなぐコラーゲン繊維が破壊されます。
これによってかの有名な歯周ポケットができます。

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ポケットは洋服のポケットと同じように底のほうにゴミがたまりやすく、掃除がしにくいところです。
ポケット底部では、酸素が不足し、嫌気性菌が増加。より病状は深刻になってきます。

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その後形成された「歯周ポケット」はプラークを取り除くことをさらに困難にしますので、プラークはどんどん成熟していきます。ポケットの内部では「ポケット上皮」ができます。本来歯茎の裏側だったところが表になってくるということです。
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このとき歯の周囲の骨(歯そう骨)の頂上付近では骨を破壊する細胞(破骨細胞)が出現し、骨はどんどん溶けてなくなってきます。
この時期には静止期と悪化期を繰り返しながら進行してゆきます。悪化期には歯周ポケットからの膿の出現が多くみられこの膿がつまると腫れて痛みを生じるようになります。

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この繰り返しを行ううちに歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜は失われ、歯がぐらついてきます。

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今まで自覚症状のなかった方も、ここまでくるとさすがに異常を感じます。
歯が長くなったような気がする、歯が動く、硬いものがかめない、といった症状です。
歯周ポケットの深さは5mmから10mmにも達することもまれではありません。

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